親父の闘病
時代は昭和から平成に変わる狭間
80歳を目前にして親父は登戸病院に入院する
病名は直腸癌
肛門を閉じて横腹に人口肛門を開ける
手術が完了し数日後お見舞いに行く
苦しんでいるときに行くのは嫌だったので
少し間を置く
面会すると親父は喜んで
「薫が来てくれたんじゃあ歩いてみようか」
と言ってトイレまで歩いていく
暫く術後の経過などを聞くが順調のようだ
退院してしばらく自宅療養していたが病状が悪化する
兄貴に電話で呼ばれ親父を病院に担ぎ込む
「また入院するのかよ」
「病院の方があんしんだよ」
今度は個室に入る
病院の窓からは親父の姉や弟のビルが見える
小康状態が続いていたが
ある日叔母が入院しているのがわかり
親父の病室に呼び逢うことになった