追憶

父が雑記帳に記していることを娘のワタシが転記していこうと思います

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

戦時中

戦時中は農家でも 食物が豊富なわけではなかった 況してや疎開で親戚の子供が沢山いたので かあちゃんも食事時は大変だったと思う 空襲の予告があった日は 家中の電気を消して真っ暗にする 晩飯を薄暗い縁側で 大勢揃って喰うのだが かあちゃんが 「早く喰っ…

粉挽き

かあちゃんは時折 リヤカーに小麦を積んで 大作か五反田に粉挽きに行く 一度だけ五反田のパン屋さんで 小麦粉とパンを交換したのを覚えている あんぱん、食パン、コッペパン クリームパン、ジャムパンなど 田舎の子供達にとっては何よりのご馳走だった あん…

祭り

毎年9月15日 暑い夏が過ぎ、柿の実が少しだけ色づく頃 長沢の中心地にある小高い山の中 諏訪神社で年に一度のお祭りが行われる 遥か彼方にまで聞こえてくる 大太鼓の音や賑やかなお囃子の音が 地元の村人たちを浮かれさせる 夕方になるとあちこちから 家族,…

かあちゃん 4.

鍋転がしに行く途中の日吉の里が見える場所に 畑を借りた時期がある 夏の終わり、若かったおふくろが鍬をふるい 畑を耕していた時ににわか雨が降りだす おまけに物凄い雷が鳴る 青白い光がピカピカすると 天地がひっくり返るような雷が鳴る 「うわー」「早く…

かあちゃん 3.

おふくろが若く30歳の頃 天理教を信じていた時期がある 風邪や腹痛などで具合が悪くなると デエ(家長の部屋)の床の間の前で 痛いところや具合の悪いところをさすりながら ≪おたすけたまえ、おはらいたまえ…≫と唱える 効き目があるのかないのかわからないが…