追憶

父が雑記帳に記していることを娘のワタシが転記していこうと思います

かあちゃん 4.

 


鍋転がしに行く途中の日吉の里が見える場所に

畑を借りた時期がある

夏の終わり、若かったおふくろが鍬をふるい

畑を耕していた時ににわか雨が降りだす

おまけに物凄い雷が鳴る

 

青白い光がピカピカすると

天地がひっくり返るような雷が鳴る

「うわー」「早くしろー」

おふくろと畑の上方にある崖の下に逃げ込む

暫く震えながら待つ間

雷の怖さを話してくれる

 

同じように畑を耕していた時

雷が鳴っても時間を惜しみ

作業を続けていた人の鍬に雷が落ちて

その人は鍬を振り上げた瞬間の姿で

立ったまま即死したという

 

鍋転がしの畑に親父とおふくろと三人で畑を耕して

昼には野良弁当を食べた嬉しい思い出がある

自分は草をかき込む手伝いをしたが

どの程度役に立ったのか

寧ろ邪魔だったのかな

 

喉が渇くと付近の山で湧水を飲む

冷たくて旨い

それにしても姉や兄は何をしていたのかな?

 

おふくろが

薫は乳飲み子の頃から畑に連れて行き

籠か笊に入れて寝かせていたという

こうじさらく1の人々は

幼い私が畑のそばで

「よくかがみっちょ2で遊んでいた」といっていたf:id:bikokou-193:20200805152238j:plain

 

1 「こうじさん」という人の開拓した畑のことを

   こう言い伝えられている

2 とかげのこと