春から夏にかけて
屋敷の横の畑では
さやえんどうが沢山実をつけている
茄子やきゅうり、南瓜、いんげんなども負けじと
白、黄、紫の花を咲かせ
やがて実をつける
ある年
屋敷の裏の畑にマクワウリを蒔く
かあちゃんは腫れ物に触るようにして育てる
花が咲き実をつけるころ
藁を根元一面に敷き詰める
かあちゃんが丹精込めたお蔭で
やがて実が色づく
あとは熟すのを待つばかりだ
そんな頃かあちゃんは
「まだ採っちゃあダメだよ」
と念を押す
「薫、わかったのか」
「…うん」
翌日裏の畑に行き
畑に横ばいになり瓜にかぶりつく
すぐかあちゃんに見つかり
「薫、おめえだんべ、歯形を見ればすぐ解かるよ!」
と怒っていた
かあちゃんは仏さまにあげようと思っていたらしい
後年になり大笑いになる
懐かしくほろ苦いような思い出になる