追憶

父が雑記帳に記していることを娘のワタシが転記していこうと思います

富山の置き薬

子供の頃

富山の置き薬屋が

行李を幾重にもしてある風呂敷包みを背負い

年に数回訪ねてくる

 

縁側で薬箱を開け

使用した薬を補充する

勘定を支払う直前になると

薬屋は子供たちに紙風船をくれる

 

ほっぺたを膨らませ

風船の中に空気を入れ

お手玉のように手で空中に浮かせて喜ぶ

 

子供たちは喜ぶが

金を取られたかあちゃん

鼻の穴を風船のように膨らませ

憮然としていた