かあちゃんの喜びと悲しみ
自分が小学生低学年の頃
すべてのテストが100点満点の時期があった
答案用紙を持って帰ると
かあちゃんは喜び誇らしげに
「薫は府中に似ているんだ」と言い
答案用紙を宝物のように保管していた
中学校の頃は悪知恵が働き
給食費を使いこんだり
辞書を買うと言って金をだまし取ったりする
嘘が重なりばれる時がよくあった
「辞書ならこねえだ買ったんべ」
という
特にひどいときは
病床に臥せっているかあちゃんの枕元から
金を盗む
頭の下にある鞄の中から
そーっと1000円盗む
成功したと思うのは自分ばかりで
かあちゃんは犯行をすべて
知っていたと思う
他人の物を盗むよりはまだいいか
ぐれるよりまだいいか
そう思って目を瞑っていたのかな