病院
「大作の医者は女の先生でおっかなくねえから一人でいってこい」
と言われ
恐る恐る行ったことがある
医者にかかることは
滅多になかった
病院の大きなドアの前で
どうしようか暫く迷ったが
意を決してドアを開ける
女医さんが
「どうしたの」
「頭いてえ」
「じゃあそこのベッドにうつ伏せになりなさい」
うつ伏せになると先生はズボンを脱がせる
恥ずかしい
普通なら熱を測ったり喉を診たりするのに
子ども心に
(なんてことしやがるんだ)
と思う
こともあろうに
太い注射をけつっぺたにする
「ズボンを穿きなさい」
「うん」
恥ずかしさで金を払ったのかどうか
まったく覚えていない