追憶

父が雑記帳に記していることを娘のワタシが転記していこうと思います

おばあちゃん

母方の祖母

 

横浜市緑区川和町 貧しい農家に生まれる

お爺さんとの結婚に至る経緯は

孫の自分には皆目わからない

また、当時のことを知っている人は

もうこの世に誰もいない

 

聞いた話では菊五郎爺さんは二度目の結婚だったとのこと

 

新婚の頃は横浜に住み

菊五郎爺さんは大工の棟梁として大勢の職人を使い

日の出の勢いで活躍していたらしい

 

朝お爺さんを先頭に揃いの袢纏を着た職人が現場へ向かう時や

建前で大勢の鳶食を従えて帰ってくる姿は壮観だったと

お婆さんは当時の良き時代を懐かしそうに孫たちに話して聞かせていた

 

反面菊五郎爺さんの浮気癖には随分泣かされたらしい

 

お爺さんの話をするときはすごく嬉しそうだった

お婆ちゃんの自慢の種は

お爺さんが読み書き算盤が達者な人だったということだ

「盛源寺の影さんとうちの爺さんの外は何人もいやしねえ」

 

自分が子供の頃押し入れの中に難しい本が沢山あったように記憶している

物ごころ着いたころには既にこの世にはいなく

写真を基に書いた肖像画で顔を知る

 

お婆ちゃんにとってお爺さんの思い出は

良いことばっかりがぎっしりと詰まっていたようだ