かあちゃんの好きだった五目そば
スープは薄味で
具は海老、いか、豚肉、チャーシュー
筍、ピーマン、人参、白菜、ナルト、ハム、
卵、長ネギ、等々…
兄貴夫婦と買い物の帰り
兄貴はおふくろをおんぶして連れて行ったらしい
平成6年頃
自分は毎日その店の前を通った
サンプルケースの中には昔ながらの五目そばがデンと置いてあった
見るたびに胸がキュンとなる
その頃はかあちゃんが他界して22年
自分は55歳を迎える
今かあちゃんと五目そばを一緒に喰ったら
さぞかし旨かろうと思う
かあちゃんにとって
五目そばは最高のご馳走だったのかな
今は駅前拡張で店舗は移動しているので
見ることはできない
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インスタントラーメンが発売された頃
「薫、日吉の『さんの屋』でラーメン買ってこいよ、皆で喰うべえ」
「うん」
小銭を貰い喜んで走るようにして買いに行く
皆楽しみで首を長くして待っている
小鳥が餌を待っているように
かあちゃんがお湯を入れ蓋をし
わくわくしながら待つ
待ちきれずに何回もふたを開け中をのぞき込む
漸く出来上がり喰い始める
これがまた薬臭い
麺はまるで輪ゴムを喰っているような味である
決して美味いとは言えない
でも今までには味わったことのない珍しい味なので
子供たちは皆全部平らげる
鼻をズルズルさせながら